林業
7/3/2020

松本林業 営業再開しました(IT経営から山仕事)

奈良県吉野郡東吉野村の山中、掘っ立て小屋のような小さなバス停があります。
今は廃線になったバス停で、私は、林業仲間との待ち合わせ場所に使っていました。
朝7時、私は、四輪駆動のトラックを運転し細くて急な山道を進み、そのバス停に向かっていました。



松本家は、代々この山奥で林業を営む一族です。
私も幼少期は、よく父について行って山に入り、お弁当を持って犬も連れて山の中で遊んだものです。
20代は東京に出てIT企業で働き、30代はIT企業の経営者になりました。
斜陽産業である林業を継ぐには、田舎で稼げるスキルのITと、経営者の視点が必要だと考えたらです。
5年前に父が急死しました。
残してくれた山林や、請け負って仕掛途中の仕事をこなすため、予定よりかなり早めに林業を継ぎました。
今は37歳、東京でITの仕事をしつつ、月1回程度こうして山の仕事をしています。
革靴の代わりに地下足袋を履き、ネクタイの代わりに手ぬぐいを巻き、
曲げわっぱのお弁当を持って、父が使ってた鈴がついたリュックをもって出勤します。(鈴は熊よけ用)



IT仕事の朝7時はなかなか二度寝したい感じですが、
山仕事の場合は気分が良く、仕事というより早起きして遊びにいくときのようです。
トラックの荷台に、チェーンソーと混合ガソリンを積みこみ、ガタガタで時には無舗装の山道を進みます。
男は、ホントはこうやって稼ぐべきなんじゃないか、って気がしてきます。



父は、山林や重機だけでなく、人間関係を残してくれました。
父の仕事仲間が、私を助けてくれています。
おかげで、素人の私でも山仕事を始めることができ、急死により止まった営業を再開できました。
原木市場に丸太を出し、松本林業のロゴマークの付いた丸太を懐かしいといって入札してくれた方がいたときは、なかなか感慨深いものがありました。

私は、林業家の中では、おそらく最もITに詳しいはずで、スマホのサービスも作れます。
日本国土の約66%は山林で、日本人は実は山の民です。
私はこうして林業を始めましたが、同じように山を相続する方は約70万世帯あります。
相続を受けても何をしていいか分からず、毎年固定資産税の支払いだけして終っているのではないでしょうか。




山林管理をITの力で見える化し、資産として活かせるようにこのサービスを作りました。
放置され崖崩れも起こり始めている山林に、光を当てることができればと思います。